【 目次 】
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1 – 1 発声における声帯の位置づけ
一般的に, 声という「音」は ① 呼吸によって ② 声帯が振動し ③ 音が響く という3つのステップから成り立ちます.
つまり, 発声を考える際には「① 呼吸法」「② 声帯の振動」「③ 音の響き (共鳴)」の3つのカテゴリーを有機的に絡めて考えなくてはなりません. 声帯だけで作られた音だけでは声にならないのです.
声帯そのものの振動によって生まれる, 声になる前の「素」の音を「声帯原音 / あるいは咽頭原音」と呼ぶようです. この声帯原音を共鳴腔と呼ばれる場所 (下から喉頭室、梨状陥凹、咽頭共鳴腔、口腔共鳴腔、鼻腔共鳴腔の5大腔) などで響かせることによって声になるのです. さらに言葉を作るには共鳴した音を舌や唇, 歯, 鼻, 頬などを使って変化を加える必要があります (こうして出来た音を調音あるいは構音といいます)(1).